雪の伏見稲荷大社

雪の日のおいなりさんへ

　京阪伏見稲荷駅に着いた時は、露天商がテントを建て始める時間帯だった。
　薄明りの中、怪しくＬＥＤに照らされた鳥居を幾つも潜り稲荷山を登っていった。　

　立ち並ぶ朱色の鳥居と雪を収めた写真を撮りたくてきたが、思うような風景に出会えずに山の中にぽかんと空いた池まで来た。

　夜明けと共に雪雲が流れていった。

　　荒神峰に立ち寄り少し参道からそれると、急に視界が開けた。

　眼下には、ちょうど朝日に照らされた京都市街地が広がっていた。　

　上に行くほど、他国の旅行者がめだってくる。
　確かにナチュラルトリップしそうな感覚にとらわれる。
　予想より早い天候回復に下界も気になりながら、いつの間にか最高峰である一ノ峰まで着いた。
　森に神々しい光が射しこんだ。
　この先は山科、山の反対側だ。
　滑らぬように慎重に来た道を戻った。
　訪れたのは、初午の前日だった。