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西国街道ひな人形めぐり 富永屋

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 逸話



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 飾られた2組のひな飾りにまつわるお話です。 
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 昭和の初めに和歌山の造り酒屋に元気な長女が生まれました。 
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 喜んだ京都の母親の実家の祖父母は、京都でも指折りの人形師であった丸屋・大木人形店に作らせました。 
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 それは、古今雛と呼ばれる貴賓高い雛人形でした。 
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 今では作り手もいない菊の飾りがついた三宝に載せられた陶器の酒器、小皿など京都らしい雛飾りでした。

 誇りに思って届けられたに違いありません。
 しかし、嫁ぎ先の和歌山ではそうのように思われなかったようです。
 和歌山では、豪華絢爛で派手な雛飾りが主流だったようで、お内裏雛しかいない古今雛は地味に思われたのでしょう。

 その事が京都の実家にも伝わる事になりました。
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 翌年(昭和6年)の節句にあわせて、女児の両親が同じ丸屋・大木人形店であつらえたものを再び届けられています。
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 それが京都から和歌山へ船で運ばれた御殿雛です。
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 平安絵巻さながらの牛車もあれば、
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 黒漆塗りの雛道具の一つ一つには、浮線蝶の家紋が入っています。
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 茶箪笥の鋳物の釜にさえ家紋が入っています。
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 宮中の紫宸殿を模した御殿は、もちろん本物同様の檜皮葺です。
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 費用は、立派な一軒家が立つぐらい掛かったそうです。

 
 そして、女児も無事に成長されて京都の向日市に嫁いで来られました。


 その折に嫁入り道具として運ばれた2組の雛飾りは、その後も飾られ続けましたが、
 高齢になられ市に寄贈されたものが、富永屋でひな祭りの時に愛でる事ができるようになりました。



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 ↑江戸時代の初参人形と呼ばれ公家の男児の姿をしており、御所に初めて参内した時に賜る人形も展示されていました。
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 ↑こちらが、向日町で400年前からある昔の旅籠、富永屋さんの雛飾りです。
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 宿帳には、測量で全国を回られた伊能忠敬の名前も残るそうです。
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 建物奥の土間に復元された「おくどさん」も見ることができます。
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 京都では、かまどをそのように呼ばれています。
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 歴史の一角に触れる事ができました。
by deepseasons | 2015-03-04 20:43 | kyoto | Trackback | Comments(6)
Commented by kwc_photo at 2015-03-05 00:59
昨年、富永屋さんに行きましたが、こんな素敵なお話があったのですね。
興味深くよませていただきました。
あの御殿飾りは本当にスゴイですもんね。
他ではなかなか見られない、檜皮葺の大きな御殿。
あれだけでも見る値打ちがありますね。
今年はひな巡り期間に行けなかったので、また来年、
このお話を思い出しつつ見たいなぁと思います(^-^)
Commented by ei5184 at 2015-03-05 08:37
こういうお話を好く理解した上で撮影した写真は、ブログ掲載の醍醐味ですよね~
好いお話です。とても参考になります!
Commented by youpv at 2015-03-05 09:37
おはようございます~。
私も去年訪れましたが
そういった時の流れがあったのですね。
今年は行けませんでしたが、こういった解説付きで
拝見させていただくと自分も行ったような気に
なれました(^^)ありがとうございます(^^)
来年はぜひ訪れたいと思います(^^)
Commented by deepseasons at 2015-03-05 19:15
katsuさん、コメントありがとうございます。
こちらの人形めぐりでも、富永屋さんがお呼ばれしてお人形を拝見するような
感じがして雰囲気がいいです。
去年の反省に基づき、今年はじっくりと撮らせてもらいました。
Commented by deepseasons at 2015-03-05 19:18
eiさん、コメントありがとうございます。
私のブログは、どちらと言うと言葉少なに見ていただける方の想像を残すのが
スタイルにできたらいいなあと思っているのですが、思わず多弁になってしまいました。
是非とも、来年はこちらのお雛様にも会いに行ってあげてください(笑)
Commented by deepseasons at 2015-03-05 19:23
youpvさん、コメントありがとうございます。
去年は、朝一番に行きましたので説明があったかどうかはわからないですが、
来られる方に定期的にご説明いただいているようです。
来年は再訪して、是非ともアップしてくださいね。
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